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アニメ版「時をかける少女」|美しい映像にて青春時代を描いた超名作!

青空に浮かぶ入道雲

このページで紹介するのは、日本が世界に誇るアニメ監督の細田守さんの代表作であるアニメ版「時をかける少女」です。

この作品は筒井康隆さんの原作小説から約20年後の世界を描いたものであり、日本国内だけでなく、海外でも評価の高いアニメ映画として知られています。

私自身も今まで10回近くは観たであろう大好きな作品なので、その魅力や見どころなどを解説したいと思います。

アニメ版「時をかける少女」のあらすじ

高校2年生の紺野真琴は、2年の春に転校してきた間宮千昭や、医者の息子の津田功介という3人でいつも放課後にキャッチボールするなど、何気ない高校生活を過ごしていた。

そんなある日、真琴は偶然にも時間を跳躍し過去に遡ることのできるタイムリープの能力を手に入れるのだった。

最初は戸惑いおっかなびっくりだった真琴だが、慣れてくると自分の好きなようにタイムリープを繰り返し、その能力の持つ力を大いに楽しむようになります。

しかしこのタイムリープ能力には使用回数に制限があるわけですが、あまり深く考えることなく自由を満喫する真琴。

ですが過去に干渉するということは、未来を変えてしまうことになります。

話が進むにつれて、友達の千昭や功介との関係が崩れるようなイベントが発生するなどで、当たり前だった真琴の日常にも段々と変化が訪れていきます。

そして真琴がタイムリープできる回数が0になった時、ある大きな事件が発生してしまいます。

多くの人の感情を揺さぶったラストシーンを含め、真琴を取り巻く環境や人間関係は一体どうなってしまうのか?

揺れ動きやすい若者の繊細な心情を、美しいアニメーションと共に丁寧に描いた傑作アニメ映画です。

アニメ版「時をかける少女」の見どころ・注目ポイント

ここからはアニメ版「時をかける少女」の、見どころについて述べていきます。

「ここが良かった!」「ここに注目してほしい!」というポイントをいくつか紹介していくので、まだ未視聴の方はぜひ参考にして下さい。

単純明快・何事も真っすぐ突き進む主人公 真琴の姿!

アニメ版「時をかける少女」の見どころとしてまず最初に取り上げたいのが、主人公である紺野 真琴というキャラクターそのものですね。

この真琴は女子高校生なのですが男勝りで、何事も本当に真っすぐな性格の持ち主。

そんな真琴は学校の理科実験室にあった光るクルミを割ってしまったことにより、なぜかタイムリープの能力を手に入れ、過去に戻れるようになります。

ここで原作やその他派生作品を観たことがある方は分かると思いますが、今までの時をかける少女のヒロインはタイムリープすることに対して、あまり積極的ではありませんでした。

どちらかというと受け身で、性格的にも女性らしいおしとやかな感じ。

それらの主人公とは逆に、このアニメ版の主人公である真琴は、自分の意志で主体的にタイムリープを行います。

またタイムリープをするには、高い場所から低い場所へとジャンプする必要があるのですが、普通であれば「失敗したら怪我してしまう・・・」と躊躇しそうなものですよね。

ですが真琴はそんなことを一切考えることなく、全力疾走してから高々と飛び立って時をかけていくのです。

その姿が本当にまぶしく、キラキラと輝いているように映るんですよね。

しかもタイムリープする目的も、

・妹に食べられてしまったプリンを食べるため
・カラオケをもっと歌いたいから
・2日前の夕食に出た鉄板焼きを食べるため
・野球のフライを捕るため

などといったように、本当に些細なことにその能力を使うというのも実に真琴らしいですね。

少し考えれば莫大な利益を自身にもたらしたり、人生を変える重要な選択だってできるはずなのに、真琴には一切そんな考えがありません。

シンプルに幼くて考えが足りないという側面もありますが、今を楽しく一生懸命に過ごしたいという気持ちの方が私には強く受け取れました。

しかもタイムリープで過去に戻っても、行動を間違えてしまい思ったような結果を出せないことも多々。

そんな単純明快で明るく真っすぐな性格の主人公が、不思議な経験と失敗を繰り返しながら成長していく姿は、この作品の大きな見どころといって間違いないでしょう。

学生時代の懐かしい気持ち・淡い青春時代を思い出させる!

現在十代で青春真っ盛りの方にはあまり関係ありませんが、私のように学生時代がもう何十年前の話という人は、あの頃の懐かしい気分に大いに浸れる作品でしょう。

まず主な舞台が学校なので、

・いきなり配られる小テスト
・体育館で響くバレーボールの音
・放課後に誰かが弾くピアノの音
・少し不思議な雰囲気のある理科実験室
・友達と自転車に乗りながら帰る道

といったような日常生活が美しく描かれているので、もう二度と味わうことのできない、あの頃の記憶や雰囲気を思い出させてくれるのです。

そしてなんといっても、メインキャラクター3人の恋愛感情を含めた関係性もまさに青春そのもの!

具体的には、

・真琴は関係を崩さずにずっと友人関係でいたい
・千昭は真琴に好意を寄せていて、ハッキリと口にする
・功介は明言しないものの、恐らく真琴に好意を寄せている

という感じで、なんとも微妙なバランスで成り立っている3人なんです。

このようなシチュエーションに関して、学生時代に似たような経験をしたことがある人は結構多いと思うんですよね。

私でいえば友達と同じ女の子を好きになったはいいが、気を使ってなかなか前に進めず、いつの間にかその2人が付き合うという苦い経験をしたことがありますw

そこに千昭や功介に思いを寄せている後輩なども加わり、より関係が複雑になっていくのも青春要素を高めているポイントですね。

そんな感じでアニメ版「時をかける少女」は、あの頃の懐かしい風景や淡い思いをたっぷりと味わえる作品になっているのです。

夏を感じられる美しい風景と白い雲!

「サマーウォーズ」や「未来のミライ」など、細田守さんが過去に手掛けた作品には大きな共通点があります。

それはどの作品にも、夏を感じる風景が存在する点です。

今回紹介している「時をかける少女」でもそれは顕著で、止まることのないセミの鳴き声、むせ返るような暑さ、草花や土が混ざったような夏の匂いなどが映像から漂ってくるのです。

またノスタルジックな風景の街が舞台になっていることも相まって、子供時代に感じた夏を思い出す人が多いのではないでしょうか。

そして中でも一番特徴的なのが、透きとおるような青空と大きな入道雲!

青と白のクッキリとしたコントラストの背景に、真琴が飛び立っている公式ポスターはかなり有名ですよね。

これに関して細田守さん曰く、「入道雲は主人公の成長を現している」とのこと。

たしかに物語の冒頭の真琴は精神的に幼かったですが、タイムリープを繰り返して様々な経験を得た後は、人としても女性としても明らかな変化が見られます。

こんな感じで素晴らしいストーリーはもちろん、夏をこの上なく感じることのできる背景も含めて楽しめるアニメなのです。

原作主人公・芳山和子のその後が分かる!

アニメ版「時をかける少女」は、1965年に執筆された筒井康隆さんの小説が原作となっています。

そしてその原作の主人公である芳山和子が、このアニメ版では真琴の祖母として登場しているのです。

アニメ内での芳山和子は30代後半とあるので、原作から約20年が経過していることになりますね。

そんな彼女は博物館で絵画修復の仕事に執事しており、真琴の良き相談相手になっているんです。

初めてタイムリープをした真琴はその経験を打ち明けるのですが、和子はなんでもないことのように、「よくあること」「私もあった」といいます。

原作ではラベンダーの香り、アニメ版では高所からジャンプすることと条件は違いますが、和子もまた真琴と同じように、学生時代にタイムリープを経験している前ヒロインですからね。

この和子の言葉と天性の単純さも相まって、真琴はタイムリープを現実のことだと認識して、積極的に時をかけるようになるのです。

さらに物語の終盤では、和子が今までどのように過ごしていたのかを自ら語るシーンまであるんですね。

具体的には、高校の時に初めて人を好きになったが大人になる前にダメになったということ。

この「好きになった人」というのは原作における未来人の深町一夫のことなのですが、ダメになった理由については「タイミングが悪かった」と和子は言っています。

つまり原作後の芳山和子は、深町一夫と再会することは叶わなかったということになります。

ですが和子は「いつか必ず戻ってくる」という一夫の言葉を信じ、30代後半になっても誰とも結婚せずに今も待ち続けていることがこのアニメ版で伺えるのです。

また和子が働いている博物館内の事務所本棚には、高校生当時の和子・一夫・吾朗の3人が映っている写真と、ラベンダーの花が飾られていました。

私同様、このシーンを見て喚起した原作ファンは少なくないと思います。

なぜ和子が一夫のことを覚えているのかなどの疑問はありますが、原作の後日談をこのアニメによって知ることができるのです。

もちろん原作未読の方にとっても、和子は悩める真琴を救い、意思決定の背中を押す重要なキャラクターなので、やはりこのアニメ版においても芳山和子という存在には注目してもらいたいですね。

涙なしでは観ることができない感動のラストシーン!

アニメ版「時をかける少女」を語る上でやはり外せないのが、あまりにも切ないラストシーンでしょう。

ここでの詳細は伏せますが、ラスト1回のタイムリープを経て真琴に待ち受けているのは、とある人物との別れのシーンでした。

この時点で、もう永遠に会うことはできないことを2人とも理解しています。

しかもお互いが好き同士ということも分かっているのですが、2人とも気持ちを伝えることはありません。

最後は泣きじゃくる真琴に対して、相手は「未来で待ってる」という言葉をかけ、真琴は「すぐ行く、走っていく」と答えるのです。

これについては観る人によって解釈は異なると思いますが、「走っていく」というセリフがやっぱり真琴らしいと思いましたね。

前ヒロインの和子は「ずっと待っていた、今も待っている」わけですが、真琴は「自分から走っていく」ということ。

このセリフから未来に向けて新たな目標ができ、がむしゃらに一直線に突っ走る彼女の姿が目に浮かんでくるのです。

なにわともあれ、一連の流れから迎えるこのラストシーンは、数あるアニメ作品の中でも指折りの名シーンといっても過言ではないでしょう。

アニメ版「時をかける少女」のまとめ

以上、アニメ版「時をかける少女」のあらすじや、個人的に思う作品の見どころなどを紹介してきました。

とにかく声を大にして言いたいのが、美しい映像にて青春時代を見事に切り取った傑作中の傑作だということ。

懐かしさ・無邪気さ・甘酸っぱさ・ほろ苦さなど、10代の頃には自分にもあった様々な感情が、観る度ごとに思い起こさせられます。

実際に細田守さんの今までのアニメ作品も全て観てきましたが、やはり時をかける少女は私にとって別格の存在です。

実際の評価としても日本国内だけでなく、海外の映画祭でも多くの賞を受賞して高い評価を受けているのも当然のことだと思いますね。

そんなわけで、まだ観たことがない人や、原作は知ってるけどアニメ版は知らないという人がいたら、ぜひこれを機に観てもらいたい一押しのアニメ映画です。