イベントレポート

杜氏のガイドから試飲まで!梅錦山川で味わう贅沢な蔵見学で、きっとあなたも日本酒ファン!!

高橋陽子

2019.11.14

Writing: 高橋陽子


いつのまにか、暦は11月。
忘年会に、新年会にと、お酒を飲む機会も増えてくるころですね。

寒い日に、くいっと飲む熱燗。
あつあつの鍋に、キリッと冷えた日本酒。
くう〜。たまりませんね〜。(注:決して大酒飲みではありません!笑)

そんな日本酒は、新酒がつくられはじめるのも、寒い時期の今だということをご存じですか?
日本酒の年度は、米づくりの周期に合わせて7月始まり6月終わり。新酒づくりは、11月から3月にかけて行われることが多いようです。

えひめさんさん物語では、そんな日本酒造りの現場を見学できるオープンファクトリーを開催中。そのうちの一つ、梅錦山川株式会社の「杜氏と巡る蔵見学ツアー」を、まさに新酒造りがはじまって間もない10月31日に体験してきました。

未体験ゾーンの酒造見学に、もう、大興奮!!!
一体どんな内容だったのか、今回は、私的おすすめポイント5つの見出しでご紹介します。

 

とその前に、今回の舞台「梅錦山川」ってどんな蔵元!?


▲国の有形文化財に指定されている主屋

愛媛でメジャーな日本酒の一つ、「梅錦」。深みがありながらも雑味のない味わいに定評があり、「全国新酒鑑評会」では、なんと30回以上も金賞を獲得しています。
そんな梅錦を醸すのが、明治5年創業の四国中央市にある蔵元、「梅錦山川」です。

歴史ある主屋は、平成12年に国の有形文化財に登録。現在は使われていませんが、明治30年に建てられた仕込蔵は今だ現役。伝統を礎にしながら、刻々と変わる時代のニーズも見据えた酒造りを追求しています。

 

【ポイント1】冒頭の映像が酒蔵見学の予習としても楽しめる!


酒造見学ツアーは、約10分の映像を鑑賞することから始まります。映像には、日本酒の歴史や梅錦の酒造りの工程が分かりやすくおさめられているので、蔵見学前の予習にぴったり!

映像を見て、酒造りの基礎知識や梅錦のこだわりの一端に触れれば、実際に蔵で見て聞いて感じるものへの理解が、より深まるに違いありません。

 

【ポイント2】「杜氏」が直々に蔵をガイド!

なんといってもツアーの一推しポイントは、「杜氏(とうじ)」が直々に蔵をガイドしてくれること! 杜氏とは、日本酒造りを行う職人(「蔵人」とよばれます)たちのトップ。
なんて贅沢(ぜいたく)なガイドなんでしょう!

こちらが、杜氏を務める松井員仁さん。
酒造りの工程に沿って、丁寧な説明とともに蔵を案内してくださいます。実際に参加して体感してもらいたいので、全貌のお伝えは控えますが、一部をご紹介しますね。

松井さんに招かれ、映像を見た事務所横の路地を進み、酒蔵へ。

「梅錦では、10月の半ばから3月までの5カ月で、その年のお酒を全て造ります。今日は蔵人が入って15日目。少しずつ仕込みが始まったところです。今は日本酒離れが進んでいて、製造量は昔の4分の1になりました。かつて60人いた蔵人も、現在は13人です」と松井さん。

蔵人の多くは季節労働者で、半年間蔵に住み込んで酒造りを行い、春が来ると故郷へ帰るのだとか。そんな働き方をされている蔵人さんあっての、日本酒なんですね。

最初に案内されたのは、精米された酒米を「洗米」する原料処理室。
酒造りに使われるのは山田錦や玉栄などの酒米で、大吟醸ともなれば、全体の50%から25%ほど小さくなるまで精米し、雑味を取り除くことでお酒の香りを際立たせるのだとか。大吟醸の洗米は、機械を使わず手洗いするそう。

原料処理が終わったら、「蒸米」工程へ。
洗米を並べて蒸気を入れて50分ほど蒸し、風を当てて冷やします。

▲翌日の仕込予定表

「昔は1500、3000、6000キロで1日10トンの仕込みをしていましたが、今は基本3000キロです。1月と2月には、750キロと1500キロの小さな仕込みをします。大吟醸用の仕込みで、洗米が手洗いのため、一度に大量処理ができないからです」

蒸米の作業場を出ると、正面に3つの建物。真ん中が、明治30年ごろに建てられた仕込蔵です。ここで「酒母造り」や「醪(もろみ)づくり」が行われています。

入口手前では、ちょうど蔵人が酒母造りに使った道具を洗浄しているところでした。

両サイドの建物は増築されたもの。向かって右の2階で、続く工程「麹(こうじ)造り」が行われます。

麹造りは、日本酒の味わいや質を左右すると言われる重要な工程。麹室(こうじむろ)に一歩入ると暖かく、外気温との差でカメラのレンズが少し曇るほどでした。

麹造りは、蒸米に種麹をふりかけ、蔵人がもみあげる「床もみ」からはじまります。種麹と混ざった蒸米は、どんどん温度が上昇。蒸米をほぐして温度を均一にする「切り返し」を行い、翌日の朝、箱に蒸米を分けて麹菌をさらに繁殖させます。箱に移した後、攪拌(かくはん)作業「手入れ」を昼と夕方の2回実施。大吟醸ともなれば、夜中も2、3時間おきに育ち具合を見ています。

蒸して1日たった箱麹の温度計を見ながら、「元気なのと、そうでないのがいます」と話す松井さんの何気ない言葉に、麹が生き物であることを気付かされました。
こうして、2昼夜かかってようやく麹が完成。


麹ができると、続く工程は「酒母造り」。


▲酒母造りは明治30年ごろに建てられた仕込蔵で。黒光りする太い梁や柱が歴史を物語ります

酒母は、水に麹、酵母、蒸米が合わさって造られます。ここでも温度管理が大切なのだとか。酒母を作り始めて3日目までは、甘みを引き出すために氷水を入れた容器を沈めて温度を冷やし、4日目からは、発酵を促すためにお湯を入れた容器を沈めて温度を上げます。

蔵人による櫂(かい)入れ。日に日に変わる酒母を見ながら、仕上がりを見極めます。

タンクをのぞかせていただくと、日がたつごとに、プツプツと泡立っていました。

こうして14日かけて、酒母が完成。酒母ができると、いよいよ「醪造り」です。
醪は、酒母に麹、水、蒸米を数回に分けて加えてゆっくり発酵をさせていきます。

醪の発酵を行っているのが、こちらの部屋。先ほどの酒母造りの部屋の下にあります。
醪は25日かけて熟成させます。

その後、もろみを「搾り」にかけて、原酒が完成。原酒はさらに別のタンクで寝かせることによって、深みのあるお酒に仕上がるのだとか。

取材時、搾りは20日くらい先とのことで、初搾りに間にあわせるべく、蔵人たちが布掛けなどの仕立てを進めていました。その作業風景に、蔵人たちの初搾りへの期待が感じられました。
蔵を後にする際、松井さんは酒造りへの思いを次のように話してくれました。

「梅錦のお酒は、味の乗った飲みやすいお酒です。梅錦を飲むと私自身、とても落ち着きます。この味を変えないようにしたい。一方で、フレッシュでフルーティーなお酒造りにも挑戦しています。これまではタンク貯蔵していましたが、すぐに瓶詰めして冷蔵貯蔵し、フレッシュ感を際立たせる工夫も。飲み手の期待に応えたいですからね」

醸造工程はもちろん、杜氏と巡るからこそ知ることのできる梅錦の酒造りストーリーを、お楽しみに!

 

【ポイント3】繊細な手仕事と機械の効率化の調和が見られる!


酒造りには、麹造りや醪造りなど人の技と繊細な手仕事が欠かせません。だからこそ梅錦では、杜氏や蔵人が酒造りに感性を注ぎ、より多くの人に日本酒を楽しんでもらえるよう、設備の新規投入を進めています。

例えば、出来上がった蒸米をエアシューターで次の工程に送るなど。蔵人は重労働から解放され、その分、別の作業に労力を注ぐことができます。

少数精鋭の蔵人が仕込んでいる梅錦の蔵。人の繊細な手仕事と機械の効率化が調和した酒造りにも注目です。

 

【ポイント4】大吟醸も味わえる試飲あり!お土産もあり!!


▲写真一番右は「梅錦」の最高級品である「媛の愛・幻味」

酒造見学イベントの醍醐味(だいごみ)と言えば、試飲ではないでしょうか。
梅錦山川も例外ではなく、見学後に試飲ができます。しかも、なかなか気軽には味わえない大吟醸クラスのお酒から新商品まで、さまざまな種類のお酒を飲み比べできるんです。
なんと最初は、大吟醸3本の利き酒から。中には「梅錦」の最高級品である「媛の愛・幻味」という1本1万円の品も!

酒造見学後にいただく味は、また格別なはずです。ぜひ、お気に入りの1本を見つけてくださいね。(私は今回運転があり断念です……悔しい!)

さらには、お土産までいただけるんですよ。
こちらは、しっかりした味わいの、昔から愛されている定番品です。

試飲ブースを担当してくださった蔵見学担当の山川寿美子さんは、「日本酒は、国内では業界自体が少し元気がない時代。逆に海外では『SAKI(サキ)』と呼ばれて人気です。もしかしたら、日本酒にマイナスイメージをお持ちの人もいらっしゃるかもしれませんが、今はフレッシュなものやフルーティーなものなど、いろいろな種類があります。若い人にもどんどん飲んでいただきたいです」と笑顔ですすめてくれました。

 

【ポイント5】日本酒ファンはもちろん、初心者にこそオススメ!

どんな場所で、どんな人が、どんなこだわりをもって作っているのか。
それは日本酒を好きになる、大切なポイントだと思います。

だからこそ、気軽に蔵元を訪ねることができ、蔵人の思いに触れることができる、こちらの蔵見学ツアーは、日本酒ファンはもちろん、これから日本酒にチャレンジしてみたい初心者にこそオススメかもしれません。

梅錦山川では、オープンファクトリー期間終了後、11月下旬から2月末までは酒造りの最盛期にあたり、杜氏や蔵人達は酒造りに専念するため、蔵の見学はできませんが、3月からは再開されます。興味をもった人はぜひ、問い合わせてみてくださいね!

梅錦山川の皆さん、ありがとうございました!

【今回の取材先】
ものづくり物語・オープンファクトリー「梅錦山川(株) 杜氏と巡る蔵見学ツアー
日時:4月20日〜11月24日の月曜~金曜 ※不定休あり。3日前までに要予約
場所:梅錦山川(株)(四国中央市金田町金川14)
※飲酒される方は、公共交通機関などをご利用ください。
参加料:無料
予約方法:TEL、メール 、FAX
お問い合わせ:
電話 0896-58-1211
メール soumu@umenishiki.com
FAX 0896-58-3171

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