イベントレポート

「アーティストinファクトリー」絶賛製作中。 うち1社の制作風景とつくり手の思いを特別公開!

高橋陽子

2019.04.29

Writing: 高橋陽子

卓越した技術力で「ものづくり」に取り組む工場。
豊かな感性や視点で「作品づくり」に取り組むアーティスト。
どこか似ていて、でも確かに異なる「強み」を持つ両者。
そのコラボレーションの先には、どんな新たな景色が広がるのかー。

「アーティストinファクトリー」(5月4、5日と18日、3市12企業で開催)。
うち1社の制作風景とつくり手の思いを特別公開!

 

「電気機械器具製造業」×「美術家」

新居浜市多喜浜にある、西機電装株式会社と株式会社西岡鉄工所。同敷地に並ぶ関連企業の2社は、大型貨物船へ積み下ろしをする、コンテナ用の大型クレーンの制御システムを手がける企業です。

今回のアーティストinファクトリーで、高知県佐川町を拠点に活動する美術家・土谷享さんとタッグを組みます。その制作現場が4月25日、報道陣に公開されることに。
ということで、さんマガWEBを代表して行ってきました!

工場に入ってすぐに、その作品は目に飛び込んできました。高さ約2メートル。ステンレス製で、圧倒的な存在感を放ちます。作品名は「UFOゲーム」。

円盤があって、それを操作するコントローラーもあって、まさにあのクレーンゲームの大型版! 材料は、型落ちしたパーツを使用していて、コストをかけずに取り組んでいるのだそう。

ああでもないこうでもないと、その場で楽しそうに制作する社員さんたち。
「まだ制作途中なんですが」ということでしたが、すでにワクワク!

 

企業の思いをカタチにする「視点」

西機電装・西岡鉄工所の西岡圭社長は、アーティストinファクトリーに参加した理由をこう話します。

「理由は2つです。一つは、私たちが普段つくっているのは、大きなシステムの中の制御盤で、1つのパーツ。最終的なものをつくっていないので、実際に子どもさんに使ってもらえるものをつくりたいと思ったこと。もう一つは、今後、メーカーとしてものをつくりたいと考えていること。だから、今回の企画参加が、アイデアを得ることや社員の技術向上につながれば、と期待しました」

携わるのはおよそ10名の社員。通常業務の合間をぬって、制作作業に取り組んでいます。

アーティストの土谷さんは、そんな社員たちとの会話を重ねて、アイデアをカタチにしてきました。

「誤解しないでいただきたいのは、つくるのは僕じゃないということ。今回僕にリクエストされていることは、『アーティストのアイデアを工場でつくること』ではなく、『工場が普段は使っていない“筋肉”を引き出してカタチにすること』だと認識しています」

「例えば、この制御盤の配線を見てください。美しくないですか? 職人にとってはこれが当たり前かもしれませんが、アーティスト観点で見ると、とても素晴らしいんです。職人の美意識がある。そういうことに気づけることが、僕が関わる意味かもしれない。制御盤って、普段はブラックボックスになっていて見えないものだけど、本番でもあえてむき出しにして、職人のデザイン力をアートにするつもりです。とにかく僕は、工場に内省する価値をカタチにすることにこだわりました」

土谷さんがそう話すように、今回考案した大型のクレーンゲームには、工場の持つイメージや技術力を反映。XYZ軸を別々の人で担当し、3人で1台のUFOを協力しながら操作して、ステンレス製の動物を捕まえます。


「通常のクレーンゲームは、1人で操作します。そこにあえて、『3人で』という複雑性をプラスしました。普段の工場内で行われているチームワークの表現であり、作品を通じてコミュニケーションが生まれることへの期待、でもあります」

実は今日初めて実物を見たという土谷さん。
「想像以上の出来です」と手応えを感じていました。

制作リーダーの三浦龍一さんは「モーターを起動させることは、理解はできても普段はやらない分野なので試行錯誤でした。先輩にアドバイスをもらいながら、どうにか形になってよかったです」と、安心した表情。

でも、「あくまで制作途中」とのこと。
ここから変速スイッチを追加し、捕まえる動物の最終制作もすすめていきます。

ちなみに本番では、見事動物を捕獲できたら、ご褒美がもらえるそうですよ!
また、このUFOゲームにも使われている電磁石の小型工作体験もあるのでお楽しみに!

 

アーティストが得た「可能性」

普段から、コミュニケーションが生まれるような作品づくりを手がける土谷さん。今回の作品づくりは、新たなチャレンジだったと言います。

「普段の僕の作品づくりは、アナログ専門で電気は使わないんです。電気って、新しい技術じゃなくて古い技術。中でも今回使ったのは、オーソドックスなONとOFFの繰り返し。単純明快な仕組みがものづくりの最前線で生きているということを、再認識しました。僕自身、新たなアートの可能性を見た気がします」

 

アーティストinファクトリーが生み出す景色

最後に、西岡社長と土谷さんから読者の皆さんへメッセージです。

(西岡社長)
「今回参加して、社員の生き生きとした表情が見られてうれしく思います。そんな社員がつくったアート作品です。3人で協力して操作する面白さを、ぜひ体感してください。日常業務の制御盤づくりも見学できるので、ぜひ遊びにきてくださいね」

(土谷さん)
「工場見学に来て、アート作品にも出会えて、2度おいしいです。普段は見られない工場内。大人でもワクワクすると思います。今回のプロジェクトをきっかけに、ものづくりの現場を身近に感じてもらい、自分が住んでいる街の素晴らしさを再発見してもらえたらうれしいです」

工場にもアーティストにも、新たな景色を生んだ「アーティストinファクトリー」。ぜひ、体感しに来てください。
きっとあなたの中にも、新たな景色が広がります。

 

<今回の取材先>

ものづくり物語「アーティストinファクトリー
西機電装(株)/(株)西岡鉄工所×美術家・土谷享
会場:西機電装(株)/(株)西岡鉄工所  本社工場(新居浜市多喜浜6-6-35)
時間:10時〜16時
駐車場:あり
参加予約:参加自由。ファクトリーツアー(10時、13時、15時)は要予約
予約方法:ファクトリーツアーの予約はこちら

その他11社で、
▶︎「アーティストinファクトリー」開催!
いずれも1日限りです。お見逃しなく!詳しくはWEBへ。

▶︎「ファクトリーツアー」も開催!
当日は、アーティストや工場の方によるナビゲート付き見学ツアー「ファクトリーツアー」(事前申込み)もあります。
5月18日分の申し込みは5月7日(火)まで。

5月3日(西条)・4日(新居浜)・5日(四国中央)の夜には、
工場の煙突やクレーンがしゃべり出す
▶︎「工場のおしばい」も!
4日と5日はぜひ、昼はアーティストinファクトリー、夜は工場のおしばいの1日コースでお楽しみください。

イベントまだまだ!
▶︎「オープンファクトリー(工場見学)
普段は見ることができない、ものづくり現場を特別公開!

▶︎「スタンプラリー」
アーティストinファクトリー&オープンファクトリー(工場見学)に複数参加し、ガイドブックの台紙にスタンプを集めて応募すると、抽選で豪華プレゼントが当たります。
たくさんの工場を巡って、スタンプを集めよう!