街コラム

あかがねの街、新居浜のお土産にぴったり!「銅板レリーフの栞」制作現場へ。

高橋陽子

2019.06.05

Writing: 高橋陽子

かつて世界一の銅の生産量を誇った銅山の街、新居浜。
江戸時代から約280年続いた別子銅山跡は、今でも大切な文化遺産となり、「マイントピア別子」として人気の観光スポットになっています。
そんなマイントピア別子で、ここでしか買えない銅の手づくり製品があるのをご存じでしょうか。

その名も「銅板レリーフの栞」。
レリーフとは、浮き彫り細工のこと。
厚さわずか0.15ミリの銅のキャンパスに、風景や動植物の絵を浮かび上がらせる銅工芸です。

今回はこの「銅板レリーフの栞」の制作現場を訪ねました。

 

東洋のマチュピチュにたたずむ、産業遺産の工房で

その工房があるのは、マイントピア別子の東平(とうなる)ゾーン。「東洋のマチュピチュ」とも言われる東平ゾーンは、銅山観光や鉱山鉄道がある端出場ゾーンから車で40分ほど離れた、標高750メートルの山中にあります。

自家用車を運転し、険しい山道を上った私。取材日は、ちょうど霧が深く立ち込めていて、山道が超ド級に神秘的!!!

「この道であっている?」と不安になりながら、なんとか目的地「マイン工房」に到着です。(ちなみに、山道は離合が難しい場所があるので、車の運転に自信がない方は、端出場ゾーンから出ているガイド付き観光バスの利用をオススメします。その場合、時間の関係上、銅板レリーフの見学のみ可、体験はできません。詳しくはこちら

そんな道中もあってか、とっても神秘的な場所に思えたマイン工房。レンガ造りの工房は、別子銅山の旧東平保安本部が置かれていた貴重な産業遺産を活用しています。

「こんにちは」と玄関をくぐると、銅板レリーフ作家の橋本育子さんが制作をしている最中でした。

「ようこそ。その入り口に飾ってあるのが、銅板レリーフの栞ですよ」

ずらっと並ぶ栞の数々。同じ絵柄でも、掘り具合、色の濃淡具合など、一つ一つの栞に個性があります。

さっそく、橋本さんのものづくりをのぞかせていただきました。

 

形半分、磨き半分。100点満点の栞をつくる難しさ

まず、鉄筆で銅板に下絵を描く橋本さん。

次に、さまざまなサイズのヘラを駆使して、膨らみを持たせます。
さらに鉄筆で両面から表線・裏線を入れながら、絵に立体感をもたせていきます。

橋本さんの道具たち。さまざまなサイズの鉄筆とヘラを駆使して、形作ります。

形ができたら、薬品で着色します。あっという間に黒くなるので、出来上がりをイメージしながら研磨。色を落として、濃淡をつけていきます。

乾燥させて、完成です。この日はあいにくのお天気だったので、ライトを使って、乾燥させていました。

「たくさんできて、1日20枚。筆圧が必要で、見た目以上に大変なんですよ。形半分、磨き半分。形がよくても、着色してみて『うーん』と納得いかないことも。自分で『これは100点』と思える栞は、まだできていないんです」

 

銅工芸との出会いはシンガポール

1980年、ご主人の転勤に伴い、シンガポールでの生活を始めた橋本さん。友人が制作していた「コパー」と呼ばれる銅製品と出会い、その魅力のとりこに。友人6人を集め、インド人の先生からも技術を教わったそう。

「銅の街、新居浜に生まれ育ったのだから、この街で何かつくりたいと思うようになったんです」

30年前、シンガポールから技術を持ち帰り、「銅板レリーフ」として広め、栞などの小さなものから、山根公園入口に飾られているモニュメントといった大きなものまで、「銅板レリーフ」一筋に作品を作り続けています。

「最初は材料を見つけるのにも苦労しました。大きな作品も小さな作品も、全部この厚み、0.15ミリの銅板じゃないとダメなんです」

 

銅の街、新居浜でつくる銅板レリーフの意味

マイン工房に勤めて25年。現在、月の半分はマイン工房で制作活動をしながら、観光客へ銅板レリーフの体験指導もしています。

「主体的に膨らませるのが、銅板レリーフの魅力です。『こうすればできそう』と頭の中でイメージしながら、立体的に膨らませるのが楽しい」と語る橋本さん。

実は私も、銅板レリーフの栞作りに挑戦させてもらいました。
(通常体験できるのは、栞ではなく壁飾りです。栞を希望の場合、木の葉形なら体験できる場合があるので橋本さんにご相談ください)

取材中の橋本さんの手つきがあまりに滑らかだったので「初心者の私にもできそう!」と思ったのですが、いざ鉄筆を握ると、想像以上に力が必要で、曲線が上手く描けません。立体的にするのも、至難の業!

でも、安心してくださいね。橋本さんの「大丈夫ですよ。ここをこうして」という優しいご指導と、頼もしい仕上げ作業が、しっかりとサポートしてくれます。

▲完成した銅板レリーフの栞を持って橋本さんと記念撮影

「銅の街、新居浜にぴったりだと思って始めた銅板レリーフ。小さな栞ですが、1枚1枚を丁寧に手づくりしています。作りながらのおしゃべりも楽しいです。銅板レリーフを、見て、体験して、喜んでもらえるとうれしいですね」

皆さんもぜひ、東洋のマチュピチュにたたずむマイン工房に訪れてみませんか。
お土産にはぜひ、ここでしか買えない「銅板レリーフの栞」をどうぞ!

 

\東洋のマチュピチュを背景にコンサート初開催/

えひめさんさん物語の第5話「あかがね物語」は、東平地区で開催です。東洋のマチュピチュとも言われる絶景を背景に初開催する野外コンサートを、お見逃しなく!

あかがね物語「天空の音楽祭」

日時:10月5日 (土)
場所:新居浜市 東平地区
詳しくはこちら

 

【今回の取材先】

マイン工房(銅板レリーフ作家 橋本育子さん)
住所:新居浜市立川町654-3
営業時間:10:00~16:30(受付15:00)
TEL:0897-36-1300
休業日:月曜日(祝日の場合は翌日)/冬季(12月~2月)
料金:[体験料金]壁飾り1枚540円(木の葉の栞1枚432円)(材料費含む)
[販売]銅板レリーフの栞432円
※10人以上で銅板レリーフ体験を希望する場合は要予約。銅板レリーフ体験所要時間は約1時間(体験人数や体験者のスピードによります)。