イベントレポート

子どもたちだけで創る子どものまち 「小さなさんさん都」オープン!

高田ともみ

2019.08.05

Writing: 高田ともみ


高校生プラニングチーム発足から、約半年……。
コアプログラム「子どもの物語」が7月27・28日の両日、新居浜市総合福祉センターでいよいよお披露目となり、さっそく取材に行ってきました!

初回の企画会議を取材していた私(記事はこちら)としては、「いったいどんな形に?」とワクワクする一方で、実は、そこまで期待してもいなかった、というのが正直なところ。「子どもだけでまちを運営するなんて、ほんとにできるの?」 なんて。

というわけで、そんな不安が見事に打ち砕かれた「子どものまち」の一部始終を、ぜひご覧ください!

しっかり遊んで、仕事して。子どもの夢が叶うまち


参加した子どもの数およそ200名(小学3~6年)。このまちに誕生したお仕事・体験ブースの数30。昨年のプレイベントの規模をはるかに超え、子ども、子ども、子どもで埋め尽くされた「小さなさんさん都」。

一歩会場に足を踏み入れると、そこはすでに子どもたちの笑い声でいっぱいでした。

まずはざっくりこのまちのルールを説明すると、ここには、大人は入ることができません(スタッフとガイドツアー参加者以外)。

「子どもだけが訪れるまち」でありながら、ここで遊んだり、何かを体験したりするには、「通貨(お金)」が必要です。そのため、このまちには独自の通貨「サント」が流通しているのです。

入場する子どもたちは、受付で入場証「さんさんパス」と、30サントを受け取ります。

そこから先は、もう自由!(笑)

仕事をしてさらにサントを稼いでもいいし、先にたっぷり遊んじゃってもいい。どう過ごすのか、自分で決めて行動していきます。

このまちの勢いにドギマギしつつも、どんな仕事があるのか気になった私は、まずハローワークへ行ってみることにしました。


「だがしのかわむら屋」「youtuber」「さんさんカフェ」「消防士」「ガイドツアー」…etc. 子ども心をくすぐる職業がたくさん並んでいます。

ここから、自分がやってみたい仕事や体験を選び、収入を得ていくわけですね。

どれを取材しようかな……なんて眺めていたところ、偶然にも、知り合いのお子さんYちゃんと遭遇! 取材を理由に、Yちゃんお目当の仕事場へ連れて行ってもらうことにしました。

「サント」で学ぶ! お給料や税金の使い道


Yちゃんが選んだ仕事は、「レトロタウン」エリアにあるお店でした。駄菓子屋さんなどが並ぶ一角で、「あめのつかみ取り」を店員としてサポートする仕事のようです。

就労時間は20分。お店の人にやり方を教えてもらいながら仕事をこなし、ようやくお給料の10サントをゲット。(※時間や給料は、仕事内容によって変動)

「この仕事がいちばんおもしろかった」とはにかむYちゃんの「さんさんパス」には、就労証明のスタンプがたくさん押してありました。がっちり稼いでいるのね。

その後、カフェで一息つくことにしたYちゃん。グレープジュース(本物です)をおいしそうに飲むその姿は、なんだかもう大人みたいで、ちょっと感動しました。

ところで、このまちは実際の社会のしくみをベースにつくられています。収入の10%を納税し、税金がまちの運営に役立てられるという、税のしくみもしかりです。

“子どもたちが単に「楽しそうな仕事」や「遊び」をしているわけではない”とわかったのは、ホールに突如、愛媛の人気ゆるキャラ「こみきゃん」が登場したときでした。

群がる子どもたちに、アナウンスが響きます。なんと、この「こみきゃん」は、取材前日(7月27日)の税収額931サントを利用して誘致されたのだそう! なるほど。

税金についても、子どもたちにわかりやすい形(こみきゃん)で提示されていて、とっても感心しました。

まちのさまざまな問題について考えるきっかけにも


さて、私もすっかりこのまちに溶け込んだ(はずの)ころ。辺りをざわつかせる一報が警察署に届きました。

“お店から1000サントが盗まれた”。

泥棒事件が、発生したのです。
「犯人を捕まえることができたら、25サントの懸賞金をお渡しします」と発表されると、がぜんやる気を出した子どもたちが、犯人さがしへ乗り出します。

この展開には私もびっくり(笑)。

子どもアナウンサーは、さっそく犯人の似顔絵を公開。(ここで、主催の南海放送さんの本物の機材が大活躍! さすが!)

“ほくろがある人物”という情報が流されると、ふたりの容疑者がつかまるというハプニングもありましたが(笑)、しばらくして犯人が確定すると、館内に歓声があがりました。

つまり、まちで起こるのは、いいことばかりじゃないんですね。

子どもたちにしてみたら、ゲーム感覚に近いのかもしれません。でも、突然起こった事態に、対応し、動いているのは、子どもたちだけなのです。これが、このまちのリアルさなんだな、と実感しました。

裏方に徹する、総勢約120名の高校生が、とにかく光る!



さて、最後に、触れずにはいられないこと。

それは、2日間で約200人の子どもたちをまとめあげ、このまちを大成功に導いた高校生たちのことです!

西条、新居浜、四国中央の3市から集まった、総勢120名の高校生。彼らがいたからこそ、「小さなさんさん都」が生まれたのだと、私は断言してしまいたい。

普段、ほとんど会うこともない他校生と、チームワークを発揮するのって、そんなに簡単じゃないですよね。

おまけに、子どもたちをうまく誘導しつつ、その気持ちに寄り添い、さらには彼ら自身も楽しんでいる。

スキル高すぎです。

初回のプラニングチーム発足時には、確か、30名ほどだった初期メンバーが、生徒会などを通じて、全校に参加を呼びかけ、集まったのだそうです。

高校生チームのまとめ役でもある、三島高校の藤枝玲さん(2年)は、「大人に言われてではなく、高校生主導で動かせるようになってから、運営がうまくいくようになった」と話します。「先輩、後輩の関係も大事にしながら、ときにはそれを超えてコミュニケーションを取れたことがよかったのかもしれません」。

また、同じくまとめ役を務めた、西条高校3年の三好芳征(みよし・よしゆき)くんも、「お互いの意見を尊重しながら、それいいな、こうしたらいいんじゃない、などアイディアを発展させていけるメンバーばかりでした」と仲間たちを絶賛。

将来の夢は小学校の先生になることだという三好くんは、「この経験は間違いなく、自分の将来に活きます!」と、キラキラした目で語ってくれました。

▲前列右が藤枝さん、左が三好くん

やがて、彼らから口ぐちに聞こえてくる、「終わってしまうのがさみしい」、というコメント。「もし、また子どものまちが開催されるとしたら?」と、聞いてみると、

「やる」
「絶対参加します」
「やるでしょ!」

迷いのない答えに、目頭が熱くなりました……。

東予に初めて生まれた、子どもがつくる、子どもだけのまち「小さなさんさん都」。大きく花開いた子どもたちの思いは、これからどんなふうに引き継がれ、どんな未来を形作っていくんでしょう!

未来には、もう希望しかないですね。
みなさん、素晴らしい空間と時間を、ありがとうございました!

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【今回の取材先】
子どもの物語「子どものまち:小さなさんさん都」
日時:7月27日(土)・28日(日) 11:00〜16:00
場所:新居浜市総合福祉センター
参加者:東予エリアを中心に、小学3〜6年生の子ども200人が参加