イベントレポート

自然豊かな日本で育まれた、伝統文化「盆栽」。「盆栽の女王」と呼ばれる赤石五葉松。小さな一鉢から始めてみませんか?

串部公基

2019.10.07

Writing: 串部公基


▲日野さんの盆栽

こんにちは、さんマガ編集部の串部です。

えひめさんさん物語の中で、チャレンジプログラム「盆栽鑑賞ツアーと苔玉づくりとミニ盆栽体験会」が開催されます。
プログラムの詳細を、赤石五葉松盆栽組合の鈴木一郎さんと、同じく組合員で「石鎚園」の日野勉さんの2人に伺いました。

 

初心者にうれしい、盆栽組合員による解説つき「盆栽鑑賞ツアー」


▲過去に行われた盆栽展

プログラムは、11月16日(土)・17日(日)の「四国中央市産業祭・JAうまグリーンフェスタ」内で行われます。伊予三島運動公園体育館で行われる盆栽鑑賞会は、観覧自由。中には1億円以上!の高値がつく盆栽も展示されます。両日には、赤石五葉松盆栽組合員が盆栽の見方や各樹種の特徴などの説明を行う「盆栽鑑賞ツアー」も開催。初めて盆栽を見る人は、ぜひ申し込みましょう(ツアー参加は、当日受付で申し込めばOK)。

また、「苔玉づくりとミニ盆栽体験会」はいずれも予約制。
2日間にわたって各3回ずつ行います。
材料は全て用意され、誰でも参加できます。

●苔玉づくり体験(各回15名まで)
第1回/11月16日(土)11時30分~
第2回/11月17日(日)9時30分~
第3回/11月17日(日)10時30分~

▲苔玉

●ミニ盆栽体験(各回15名まで)
第1回/11月16日(土)11時~
第2回/11月16日(土)14時~
第3回/11月17日(日)14時~

▲ミニ盆栽。第9回新生盆栽展、深川達郎さんの作品

「苔玉づくり体験」では、盆栽に欠かせない苔を使い、球状の土台に苔を植え付け、それを盆栽の鉢に見立て木や花も植えます。手入れの簡単な苔で土を覆うことで水やりなどがしやすくなり、持ち帰った後も自分で苔玉を育て続けることができます。

「ミニ盆栽作り体験」では、盆栽初心者でもすぐに取り掛かれるセットを用意し、実演しながら丁寧に盆栽作りを行います。持ち帰った後の手入れなどについても詳しく説明されます。

 

東赤石山山頂付近に自生する五葉松を、長い年月をかけて育成


▲東赤石山連山。東赤石山は奥左から2番目の尾根

ここで赤石五葉松の説明を。
東赤石山に自生する五葉松は「ヒメコマツ」とも呼ばれ、全国的には「赤石五葉」の名で親しまれます。愛媛では郷土芸能・伊予万歳の『松づくし』で謡われていることから、「ゴヨウマツ」で親しまれています。


▲5針葉

松といえばアカマツやクロマツが有名ですが、これらは2針葉です。子ども時代に互いに2針葉の短枝を絡ませ、引っ張り合った思い出がある方もいるかもしれません。
一方のゴヨウマツは、さや状の短枝に5本が束生している(5針葉)であり、そのことから「五葉松」と呼ばれています。

ゴヨウマツの魅力は、なんといっても鮮やかな緑をした、短い葉。
また、幹には成長の早い段階で古木の様子が表れることから、盆栽にとっての理想の性質を備えています。
さらに、四国中央市を中心に園芸農家や盆栽業者が長い年月をかけて改良してきました。その特徴から「盆栽の女王」と呼ばれています。

日野さんのグループは、「10年以上前からは、地元の関川小学校で五葉松クラブと称した小学生向けの盆栽教室も行っています。小学生からも楽しめるのが盆栽。この機会に、たくさんの方が来られることを期待しています」と。


▲五葉松クラブの作品

盆栽の魅力は、自然の雄大さを身近に感じること。
日本が誇る伝統文化を体験してみませんか?

【今回の取材先】
チャレンジプログラム「盆栽鑑賞ツアーと苔玉づくりとミニ盆栽体験会
日時:11月16日(土)・17日(日)
場所:伊予三島運動公園 体育館(展示・体験会場)
参加費:苔玉づくり体験 1,000円/ミニ盆栽体験2,000円(持ち帰り自由) どちらも11月8日(金)までに電話で要予約
お問い合わせは、赤石五葉松盆栽組合(鈴木) TEL 090-6288-2862

【盆栽について、詳しく知りたい方へ。以下は基礎知識です】
(1)盆栽とは
盆栽は、小さな鉢の中で樹木を数十年から百年以上培養します。古いものでは300年を超えて育まれるものもあります。松のイメージが強い盆栽ですが、樹種は無限にあり、多彩な技術を用いることで自由自在な造形を可能にしています。

(2)盆栽の伝来
盆栽の歴史は古く、発祥は古代中国に存在します。当初は、山の風景を小さなお盆の中で器や植物を使って模す「盆山」として日本に伝わったとされています。

(3)初期の盆栽
日本への伝来は平安時代といわれ、時代の流れとともに貴族から武士へと広まっていきます。その中で、自然の風景を凝縮して石や植物を配置するジオラマのようなものから、鉢植えで木を育てる現代の盆栽に近いものとなっていきました。その頃に成立した能の演目「鉢木」の内容や、この演目を豊臣秀吉が好んだことからも、盆栽が武士に広く普及し、大事にされていたことがわかります。

(4)広がっていく盆栽
江戸時代には、文化の中心が武士から町人へと移り、鉢植えに近い形になっていた盆栽は、庶民の文化として隆盛します。ジオラマ的な盆山ではなく、1本の木や草で広大な自然を感じさせる方向への転換が完了。それを実現したのが、整枝などの園芸技術の進化です。300年以上も残る盆栽は、この時期に作られたものといわれています。

(5)「盆栽」として完成
幕末には、専門の植木職人の数も増え、植木を売り歩く「植木屋」も多く見られるようになりました。自由自在な形をした盆栽が登場し、19世紀末のウィーン・パリの二度の万博によって世界をも魅了しました。そして「盆栽」という言葉で呼ばれるようになりました。

幕末の維新の潮流の中、格式化しつつも華やかな茶の湯文化に取って代わり、自由な気風の煎茶文化の興隆に伴い、色鮮やかな鉢から質素で素朴な器が好まれ、山水画の掛け軸など、中華趣味とあいまって、現代の「盆栽」スタイルが完成しました。

(6)芸術となった盆栽
明治期の文化人たちはこぞって盆栽を楽しみ、盆栽ブームといわれるほどの盛り上がりを見せました。20世紀に入っては、個人趣味ではなく芸術としての盆栽を求め、美術館での鑑賞会が積極的に開かれるなど、盆栽は日本文化を担う芸術の域に達しました。

(7)盆栽からBONSAIへ
戦争の時代にはぜいたく品としてみなされ、戦火などで多くの名品も失われましたが、戦後には再び盆栽技術の革新が進み、今日の盆栽への道が拓かれました。園芸趣味でしかなかった盆栽は、いまや世界へ向けて発信される日本文化の一翼として、BONSAIは国を超えて高い評価を受けています。

参考資料:盆栽歴史講座~歴史から見る盆栽~ 熊谷園・深川達郎(2019.8.30開催)