イベントレポート

石鎚山の麓に古から伝わる石鎚黒茶は、日本に4つしかない貴重な後発酵茶!

串部公基

2019.05.31

Writing: 串部公基

まぼろしと呼ばれ、無形民俗文化財にも選ばれた石鎚黒茶


▲黒茶と黒茶スイーツのお接待中の戸田さん

えひめさんさん物語のチャレンジプログラム1つ、五感で感じる「無形民俗文化財石鎚黒茶!」
このプログラムは、おもてなし茶会(5月)と乾燥体験&オリジナルブレンド茶作り体験(8月)ができます。

5月11日(土)、西条市の横峰寺(四国八十八箇所第六十番)にて行われた「おもてなし茶会」にお邪魔して、石鎚黒茶の歴史や製造方法、8月の体験の内容を聞いて来ました。


▲本堂から大師堂の山際に植えてあるシャクナゲが美しい横峰寺

取材したのは、石鎚黒茶の製造を行う団体「生活研究グループ さつき会」の会長、戸田久美さん。

もともと、戸田さんの親が石鎚黒茶を製造するさつき会に立ち上げから携わっていました。
ところが、親や他のメンバーが80代半ばになった頃、手間のかかる石鎚黒茶の製造を辞めるという話が出ました。
そのとき、せっかくの伝統を絶やさないよう、生産の継承を決心。会の活動を引き継いだそうです。

 

手間も時間もかかり、たくさんの人手が必要な製造方法

石鎚黒茶は、中国で仏教を学び四国で修行し四国霊場をひらいた空海が、日本に伝えたお茶の一つではないか、といわれています。歴史は長く、お遍路さんへのお接待として用いられてきました。江戸から大正にかけてたくさん作られていましたが、昭和に入り次第に生産者が減少していきました。そのときに伝統を絶やさないようにとさつき会ができ、今も石鎚黒茶の製造が続いています。

石鎚黒茶の製造方法です。
まず、茶葉を収穫します。7月頃の硬葉を一斉に摘みます。
収穫した茶葉は枝を切りそろえ、洗浄し、酵素による発酵を止めるために蒸します。
蒸した茶葉を、枝を取り除き、一次発酵として糸状菌による発酵を約1週間行います。
1次発酵が終わった茶葉は丁寧に揉み、その後密閉して乳酸菌による発酵を約2週間行います。
最後に天日で乾燥させることで完成します。

石鎚黒茶はこの二段階発酵が特徴です。

天日干しで黒くなった茶葉からは、独特の香りや酸味が出ます。黄金色のすっきりとした味わいで、温めても冷やしてもおいしいです。
石鎚黒茶には健康効果もあります。坑アレルギー効果・坑肥満効果が確認されており、粉症の症状緩和効果や肥満の蓄積を抑制する効果が期待できます。

また、GABAと呼ばれるリラックス効果のある栄養素が豊富に含まれます。
しかし、カフェインやタンニンは少ないため、年齢などを気にせず誰もが飲むことができます。


▲石鎚黒茶をつかった商品。饅頭や飴も

 

8月25日(日)は、乾燥体験とオリジナルブレンド茶づくり

8月の体験は、小松農村環境改善センターで行います。(特に準備物はありません)

初めに、石鎚黒茶の伝統や製造方法についての説明。
乾燥体験は天日干しを行います。茶葉が緑色から黒色に変化していくところを実際に確認できます。
オリジナルブレンド茶づくりでは、西条市に複数店舗を出している庄野薬局さんが、いろいろな成分の薬草を、効果にあわせて黒茶とブレンドし、独自のお茶を作ります。

同時に、地元の西条高校・西条農業高校の生徒さんたちが作った黒茶スイーツの提供もあります。黒茶をゼリークリームにし、生地にも黒茶を練りこんだロールケーキや、生地とシロップに黒茶を使ったワッフルが提供されます。

石鎚黒茶をたっぷりと楽しめる1日。
少しでも興味がある人、ぜひこの機会に参加しましょう!


▲便利なティーバッグタイプもある

(備考:お茶についての基礎知識)
私たちが普段、よく飲んでいる緑茶は、発酵させずに蒸したり天日干ししたりすることで作られているため、発酵するお茶は特別なものと思いがちです。
しかし、発酵して作られてる、お茶もあります。

たとえばウーロン茶は酵素による発酵を途中で止める半発酵茶です。
紅茶は世界中に産地があり、世界で最も消費されているお茶ですが、これも酵素によって完全に発酵させた全発酵茶(完全発酵茶)です。
(緑茶などは不発酵茶といいます)

そして、石鎚黒茶は、酵素ではなく乳酸菌などによって発酵させる後発酵茶の一種です。
中国茶のなかでは「黒茶(ヘイチャ)」と呼ばれ、多くの種類が作られており、プーアル茶が有名です。

後発酵茶は日本では4種しかないといわれる貴重なお茶で、そのうちの3つが四国にあります。
徳島県相生町で作られ阿波番茶とも呼ばれる「阿波茶」、
高知県大豊町で作られている「碁石茶」、
そして、西条市でも小松町石鎚地区でのみ作られる「石鎚黒茶」です。

【今回の取材先】
チャレンジプログラム「五感で感じる『無形民俗文化財石鎚黒茶!』体験
日時:8月25日(日)
場所:小松農村環境改善センター
参加費:800円
定員:25名(予約制)
お問い合わせ・お申し込みは、石鎚黒茶生産関係者連携協議会(戸田)
TEL090-4503-4359